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父の日には、思いのこもったプレゼントを

父は2008年1月22日に永眠しました。
64歳の誕生日を迎える1ケ月ほど前のことでした。
新聞社に勤めていた父は、物静かで読書を好み、子供の頃に覚えたという手塚治虫のイラストを描いて、よく私に見せてくれました。
海外出張も多く、家にいないことも多かったのですが、幼かった私は寝る前に聞かせてくれる父の創作したお話を聞くのが大好きでした。
つないだ父の手は柔らかく、父の話を聞きながら安心して眠ることができました。
私は今もその大きな手をよく覚えています。
子供を授かったと知った時、真っ先に電話をくれたのも父でした。
私は結婚後、なかなか子供を授かることができず、不妊治療を続けていました。
何年かかるかわからない不妊治療に、焦ったり悩んだりしたこともありましたが、そのことについて父や母にあまり話をしたことはありませんでした。
でも、理解してくれていたのだと思います。
子供を出産したことで、親の愛情がどれほど深かったのかがよくわかりました。
第一子を出産した3ケ月後の6月にちょうど父の日があり、私はそれまでの感謝の気持ちをこめて、父に万年筆をプレゼントしました。
父はあまり大げさに感情を表すようなタイプではなかったのですが、その時はとても喜んでくれました。
父はそれまで数冊の本を出版しており、今ではどれも絶版になってしまったけれど、また本を書きたいと言ってくれました。
3ケ月になる我が子のこともとても可愛がってくれて、家族で食事をしたり、写真をとったり、とても楽しい一日になりました。
万年筆をプレゼントして良かったと心から思いました。
第一子を出産した5年後、第二子の妊娠がわかりました。
私はすぐに、父に電話をしました。
父も母も、本当に喜んでくれました。
しかし、その2ケ月後、父はくも膜下出血で倒れ、この世を去りました。
棺には、私がかつてプレゼントした万年筆も入れました。
父は、毎日日記をつけるのに使っていたそうです。
その万年筆をとても大切にしていたと後に母から聞きました。
葬儀には、父がかつて勤めていた会社の方が弔問に訪れて下さり、あまり家族の話をする人ではなかったけれど、お孫さんのことは特別可愛がっていました、手帳に挟んだ写真をたくさん見せてもらいました、と話して下さいました。
涙が止まりませんでした。
父の日のプレゼントというと、何を贈ったらいいのかわからないと悩まれる方も多いことでしょう。
毎年のことなので、面倒に思ったり億劫になったりすることもあるかもしれません。
でも、贈る相手がいつまでも元気でいてくれるかは誰にもわからないのです。
だからこそ、一年に一度の父の日を大切にしてほしいと思います。
物を贈るということは、それ以上に気持ちを贈るということです。
後になって思い返した時、良い父の日だったと笑顔で思えるようにプレゼントを選ぶといいのではないでしょうか。
親への感謝というのは普段照れくさくてなかなか面と向かっては言えないものですが、プレゼントを渡すことで、感謝の気持ちを表すこともできると思います。
万年筆を贈った父の日は、私にとってかけがえのない思い出です。
モンブラン、ペリカン、パイロット、パーカー、どの万年筆が父に一番喜んでもらえるだろうと父のことを考えながらあれこれ選ぶ時間もとても楽しいものでした。
私はあの日のことをこれからもずっと忘れないでしょう。

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